心理セラピストが暴露する「自己肯定感が低い」の正体

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心理セラピストとして、「自己肯定感が低い」というお悩みはよく聞きます。

自分のことが嫌い。自分には価値がない気がする。
人から十分に愛されていない、認められていない気がする。等々

このようなネガティブな感覚や感情はとても破壊力があり、日常生活を送るための「必要最低限のエネルギー」さえも奪ってしまうことがあります。この状態が長く続くと、人は鬱っぽくなったり、実際に病気になってしまったりします。

 

昨日この「自己肯定感」についてツイートしました。

 

「自己肯定感がない状態」を「コップの底に穴が開いている」と表現したのが、フォロワーさんには分かりやすかったようです。

もう少し詳しく解説します。

「自己肯定感」とは何か。自信と同じか。

自己肯定感が【ある】状態を考えてみます。

 

私は上記のツイートで、「受け取れる状態」と書きました。褒め言葉や愛、人からの善意を受け取れるという意味なのですが、それだとちょっと分かりにくいですね。

 

抽象的に考えると難しいので、「自己肯定感のある人・ありそうな人」はどんな人か?を考えてみます。あなたのイメージでは、どんな人が思い浮かびますか?

  • 自分に自信を持っている(持ってそうな)人
  • 自分の世界や信念を持っている人
  • 他人の意見や、他人からの評価をあまり気にしてなさそうな人 etc.

人によって表現バリエーションは違うでしょうが、「自分を肯定することができている」≒「自信がある」というイメージは一般的にありそうです。

 

ならば、「自己肯定感がない、低い」というのは、「自信がない」に繋がります。

だからこそ、自己肯定感が低い人は、自分に自信を持ちたい!と考えます。これも当然ですよね。

「もっと頑張る」「もっと愛して」には終わりがない

自分に自信がない人は、どうすれば自信を持てるか?を考えます。

ここで、ほとんどの人は以下の2つの考え方のどちらかを採用します。

  1. 勉強、スキルアップ、自分磨きなどを頑張ろうとする。⇒「もっとすぐれた私」になろうとする。
  2. 他人から褒められる・認められるようになろうとする。⇒「もっと愛される私」になろうとする。

この上記2つの方法は、1.は自信を「生み出そうとする」努力ですし、2.は「他人からもらおうとする」努力です。

 

もちろん、どんな努力も、努力する姿も、美しいと私は思いますが、

「もっとすぐれた私」になろうとしなくても、「もっと愛される私」になろうとしなくても、自己肯定感を持つことは可能です。

 

というか、「肯定感がない」というのは、コップの底に穴が開いている状態なのですから、

いくら「もっとすぐれた私」になっても、「もっと愛される私」になっても、あなたは満足することはありません。

 

「もっと頑張らなきゃ!」と自分をムチ打つ心の声に悩まされ続けるだけです。

または、友達やパートナーに対して、「もっと愛して!もっと私を見て!」と望みつづけなければいけません。それは周りを疲れさせ、あなたのまわりから人が離れていく原因になります。

 

必要なことは、コップの底に開いている穴を、ふさぐことなのです。

一度穴をふさいでしまえば、コップに入れてもらう水(愛・褒め言葉など)が漏れ出てしまうことはありません。

なぜ、コップの底に穴が開いたのか?

「コップの底に空いている穴」とは何でしょうか?

それは、「(あなたが)あなたを否定する信念、固定観念」です。

  • 私には価値がない
  • 私は劣っている
  • 私は愛されない

このような深い思い込みがあるから、あなたは、他人からいくら褒められても、大切にされても、それが本当だと信じきれないのです。

 

じゃあ、コップの底の穴をふさぐには、どうしたらいいのか?

多くの人は、「価値がない⇒価値がある」「劣っている⇒優れている」「愛されない⇒愛される」と書き換えようとします。(だからこそ自己啓発やスピリチュアル、各種セラピーが流行ります)

でも、そう簡単にはうまくいきません。失敗するケースのほとんどは、「単純 or 無理に書き換えようとした場合」です。

 

一生懸命に書き換えようとしたのに、結局うまくいかなかったら、当然ガッカリします。

それどころか、「うまくいかないのは、私がダメなせいだ」と、ますます自分を責める負のループにハマりがちです。

深い自己否定を解放するとき、単純にポジティブで上書きしようとするのは、悪手です。

コップの穴をふさいで、元に戻らなくする方法

コップの底の穴をふさいで、元に戻らないようにするためには、「根本的解決」が必要です。つまり、「原因を根っこから見つけて対処する」のが大事なのです。

 

そもそも、どうして

  • 私には価値がない
  • 私は劣っている
  • 私は愛されない

なんて、自分を否定するような思い込みを持ってしまいましたか?

 

誰かが、あなたにそう言ったのでしょうか。例えば、「お前はバカだ」「お前なんていなければいい」なんて、ひどいことをあなたに言った人はいましたか。

もしくは、誰かに言われたわけではないけれど、成長のいずれかのタイミングで、周りと比べて自分をそうだと決めつけてしまったのでしょうか。

 

じゃあ、さらに聞きますね。

なぜ、あなたは、それを真実だと信じてしまいましたか?

コップの穴は、あなたが自分で開けたのです

誰かがあなたにひどいことを言ったにせよ、

自分でひとりで信じてしまったにせよ、

「あなた」がそれを信じてしまった。それを採用したのは「あなた」

なのです。

つまり、コップの穴を開けたのは、他人じゃなく、あなた自身なのです。

 

具体例を挙げたほうが分かりやすいので、書いてみますね。

お父さんにいつも暴力をふるわれているお母さんが可哀想で、「私がいい子じゃないからだ」と思って、できるだけいい子にしていようと思った。

というケースを考えてみましょう。

多くの幼い子供は、(お父さんの機嫌が悪いのは、お母さんがいじめられるのは)「私のせいだ」と原因を自分に求めます。

そうすると、【私がダメなんだ(劣っている)】と信じることで、結果的に、親を守れると思ってしまうのです。(これは子供の無条件の愛といえます)

 

つまり、

「私は劣っている」⇒「だからいい子にしていよう」⇒「いい子にしていれば、お母さんはいじめられない」⇒「お父さんとお母さんが仲良くなる」

の図式です。

逆から考えると、このケースでは「お父さんとお母さんが仲良くなる」ためには、心の深い部分で「私は劣っている」が必要なのです。

 

分かりますでしょうか。

論理的に考えればめちゃくちゃなのですが、心の問題というのは、「論理を飛びこえて多重構造になっている」のです。

自己否定は役に立つ

ほかにも、例を挙げればたくさん出てきます。自分を否定する考え方や思いこみは、いくらでも役に立つのです。

  • ダメな私でいたほうが、構ってもらえる
  • 「痛みが分かる優しい人間」でいるためには、劣等感も大事
  • 才能を開花するには、孤独が必要なんだ
  • 不幸なままで居続ければ、元パートナーに罪悪感を持ってもらえる
  • 体が弱いほうが、働かなくて済むからラク

などなど。

 

自己否定が役に立つ、という側面があるので、コップの底の穴も、あなたの気がつかないところであなたの役に立っている可能性は高いです。

 

あなたは、なぜ・いつから「価値がない・劣っている・愛されない」と思っていますか?それは、どんなふうにあなたの役に立っていますか?

あなたが開けた穴なのだから、開けた理由さえ分かれば、あなたが自分でふさぐことができます。