「キャンディ・キャンディ」のアニーが嫌われる理由
以前掲載したこちらの記事
→ 「好きなマンガから読み解く、自己分析の方法」
を読んでくださったリピーターのお客様より、ご感想のメールをいただきました。
掲載の許可をいただいたので、ご紹介します。
今日のブログ『好きなマンガから読み解く~』内容がすごく納得です。
私は『はいからさんが通る』『キャンディ・キャンディ』『ベルサイユのばら』が昔から大大好きで、ずーっと大切に思っている漫画です。真理子さんもきっとよくご存知の漫画だと思います。 しかし、真理子さんの記事で気づいたのは、この漫画は3つとも主人公が最愛の人を亡くす、元々結婚など考えていない、ただし幸せがこちらに向かってきているのに自らいばらの道を選び成長していくストーリー。 あと私に主人公が共通する部分が多いのです。 はいからさんの主人公は明るく男勝り、かたやなかなか好きとは言えないが愛した人に一生懸命。今を謳歌し結婚なんてなかなか考えられない。でも、実は繊細。それは私と全く同じ。 キャンディは小さい頃から貰われた先でも辛い淋しい思いをするがいつも優しい男性(丘の上の王子さま、アンソニー)が突然現れて癒してくれる(好きになってくれ助けてくれる)。いじめられる→癒やされ助けられ、成長していく。 ベルサイユのバラは、主役オスカルを影ながら愛し支えるアンドレがいて命を懸けてオスカルを守る。 私も実は会社勤めでは人間関係に悩まされ、さんざんいじめられています。でも、必ず職場にそをんな私を気にし誘って励ましてくれる男性がいつも現れます(彼氏ではありません、見てると放っておけないと)。男性とすぐ仲良くなるから女性に好かれるわけないのですがなぜか毎回同じパターン。必ずアンソニー的な存在が現れるのです。ただ、つきあうわけではなく結婚になるわけでもなく、本当にかげながら支えてくれる存在がいつもいます。 幸せかもしれませんが、結婚にはいたらないのです。 次は真理子さんにこれをよみといてほしいです。 きっと何かありますよね。 Rさん |
「きっと何かありますよね。」と結ばれていましたが、
そうですね、何かありそうです(笑)。
共感できるキャラ・できないキャラは、最初から決まっている
Rさんは、これらのマンガを、主人公とご自分を重ねて読んでいらっしゃいます。
『はいからさんが通る』は花村紅緒、
『キャンディ・キャンディ』はキャンディス、
『ベルばら』はアンドレに
どこか共感しながら物語をお読みになっています。
(ちなみに…すみません、上記のマンガでは全巻読んだことがあるのは『キャンディ・キャンディ』のみです(^_^;)
よみといてほしいです、と書かれていましたが、
Rさんご自身がすでに読み解いておいでですよね。
“自らいばらの道を選び成長していく”。
“幸せかもしれませんが、結婚にはいたらない”。
これが、今までのRさんの人生観・価値観なのです。
マンガをどの立場から読むか、登場人物の誰に共感して読むかは
そのまま、読者の内面が投影されるのです。
もう、これは読む前から決まっています。
誰もが主人公に共感するわけではない
ということは、勘のいい方はお気づきだと思うのですが、
誰もが主人公に共感・感情移入して読むわけではないのです。
それどころか、主人公に対してイライラしてしまう、とか
主人公のライバルのほうに親近感を覚える、といったことも
よくあることです。
ちなみに私は、
『ガラスの仮面』を、主人公の北島マヤにではなく、
ライバルの姫川亜弓に共感しながら読んでいました。
ついでにもう一つ告白すると、
私が小さい頃、アニメで『アルプスの少女ハイジ』が人気だったのですが、
当時の私はとにかく、ハイジが嫌いで嫌いでたまりませんでした。
私がハイジを嫌いだった理由
これは、私の嫉妬なのです。
おじいさんやペーター、クララなど、
周囲に愛されて慕われている彼女が妬ましかったし、
彼女はとても天真爛漫な性格に描かれていて
なんの我慢も努力もしていないように(私には)見えました。
だから、ハイジのことを、ズルい!と思っていました。
ここで読み解くことができるのは、
私は自分のことを「我慢して努力している人」だと思っていて、
でも一番欲しいものは手に入っていないと思っていたのですね。
まさしく、姫川亜弓もそのように描かれています。
嫌いな・苦手なキャラクターの立場から物語を眺めてみる
Rさんは『キャンディ・キャンディ』をキャンディスの立場から読みましたが、
これをまったく別の人の視点から読んでみたらどうでしょう。
たとえば、Rさんにとっては、苦手なキャラクターのひとりが
主人公の親友アニーではないでしょうか?(私の予想です。)
アニーのキャラクター分析
彼女は、孤児院出身ということを隠したいがために
キャンディと再会しても、最初は無視します。
また、片思いをしているアーチーがキャンディを好きだと知ると
キャンディに嫉妬していじけます。
しかも、涙を武器に情に訴えるのがナチュラルに上手。
なかなか、「女子の嫌な面」が全開のキャラクターですが(笑)
最終的にはアーチーとうまくいくようですし、
かよわい守ってもらう女子、というポジションは最後まで揺るぎません。
彼女こそ、ズルい!と言われても仕方ないかもしれません。
(実際、ネットで調べてみたら、「アニーが嫌い!」というアンチの声は
相当な数にのぼりました。笑)
でも、彼女から学べることはたくさんあるのです。
アニーが嫌い!という目でしか彼女を見なかったら、
彼女の良い面は見えてきません。
私が思う彼女の長所は、
- 自分の気持ちに正直なこと。
- 欲しいものを手に入れるために、なりふりかまわず行動できること。
- 容姿の可愛さや女の子らしさを、武器として使えること。
- 自分の悪いおこないを、あとで素直に認めて謝れること。
です。
こうして書いてみると、ラストを除くと
「女子に嫌われる女子」そのまんまです(笑)。
アニーを嫌いな理由は、彼女があなたにないものを持っているから
でも、これって、「自分はそんなことできないから」嫌いということはないですか?
恥ずかしいから
やり方が分からないから
自分は女の武器を使えないから
あきらめているから
理由はなんだっていいのですが、
人は自分に許可していない・封印している資質を持つ人を嫌います。
私がハイジを嫌いだったのも、要は
ハイジのように天真爛漫にふるまえなくて、
それが悔しくて、いじけていただけです。
それが分かっていたからこそ、ハイジを嫌うことで
自分を正当化していたのですね。
人生の目的を達成するためにできること
Rさんが、
“自らいばらの道を選び成長していく”。
“幸せかもしれませんが、結婚にはいたらない”。
という人生観をもし手放したいと心から思っているのであれば、
キャンディではなく、アニーの良さを見習ってみるのも、ひとつの方法です。
キャンディの真似は、Rさんにとっては、とても楽で簡単な方法のはず。
自分に似ていますから。
アニーの真似は、とても難しい。
「絶対無理」「絶対イヤだ」って方法ですから。
だからこそ、自分の壁を突破していく、効果的な方法なのです。
でも、
『キャンディ・キャンディ』の世界で
キャンディがある日突然アニーのように行動し始めたら
物語が破綻しちゃいますが(笑)
現実世界であなたがある日突然行動を変えたとしても、
それはいくらでも許されると思いませんか?
すべてのキャラクターに、独自の輝きがある
主人公が魅力的に映るのは、ライバルやヒールがいるからこそ。
そして、ヒールがヒールとして魅力的なのは
主人公にはない独自の輝きがあるからこそ。
どんな悪役にも、善悪を超えた次元で、かならず魅力があります。
人生を面白おかしく、豊かに生きていきたければ、
どうせだったら、
たくさんのキャラクターの魅力を自分のなかに取り込んでいけばいいと思いませんか?
欲張ってナンボだと思います。
マンガの楽しみ方の、ひとつのご提案でした。